【留学レポート】横山瑠佳さん(第29回ハイメスコンクール<ピアノ部門>第1位)

第29回ハイメスコンクール<ピアノ部門>において、第1位入賞の横山瑠佳さんは、現在、ドイツ・ミュンヘンに留学中です。一時帰国された機会に、留学、そしてコロナ禍での生活についてお伺いしました。

インタビュー実施 2021年4月1日(木)

インタビュアー 広報委員会 委員長 駒ヶ嶺ゆかり

撮影・記録 広報委員会 副委員長 立花雅和、事務局(松田、立花)

横山さんは苫小牧出身、東京藝術大学卒業と伺いました。最初に、日本での学生時代~留学に至るまでの経緯を教えてください。

小さいころからピアノを習っていましたが、だんだんと本格的な勉強をしたいという気持ちが強くなり、将来は音楽に関わる仕事がしたいと思い始めました。中学時代、苫小牧から札幌まで月に何度かレッスンに通い、丸山滋先生に師事しました。そういった中で藝高の存在を知り、高校から専門的な学校で学びたいと思い、受験の準備をするために植田克己先生に師事し始めました。15歳で思い切った決断でしたが、2011年、東京藝術大学附属高校へ入学しました。入学後は、慣れない土地で一人暮らしということもあり苦労することが多くありました。しかし、様々な楽器における日本トップクラスの人たちが同じ教室に集まり、音楽の勉強はもちろん、音楽面以外の事でも共に高校生活を送れたことは、とても新鮮で刺激的でした。
高校在学中にライプツィヒで行われた講習会に参加した際に、今後ヨーロッパで勉強したいと思い、高校卒業後、藝大に進学してからは留学を意識するようになりました。その中で2017年にハイメスコンクールで入賞し、留学の機会を与えられその後の進路もより具体的になりました。
ミュンヘンに留学した理由の一つとして、ベートヴェンが好きでドイツでドイツ音楽を勉強したかったということがあります。そのため現在もベートヴェン作品を勉強する機会が多いです。また、ミュンヘン中心部は都会ですが、電車で20分程行くと森が広がり、自然が多く北海道と似ており、住みやすい街だなと思ったことも理由の一つです。

現在はドイツ・ミュンヘンに留学中ですが、留学生活についてお聞かせください。

2018年に藝大大学院へ進学しましたが、休学してミュンヘンへ留学することを決めました。2019年秋にミュンヘン音楽・演劇大学(Hochschule für Musik und Theater in München)への入学が決定し、現在に至ります。今の大学でのマスター課程が来年2月に修了する予定なので、そのあとは一旦、日本に帰国して藝大大学院に復学して1年勉強します。当初は、藝大修士課程を修了し、学生生活に区切りをつけれたらと思っていたのですが、2019年秋に渡独したためコロナの影響を受け、本来の状態での勉強は半年くらいしかできていません。自分が思い描いていた留学生活が送れた期間が短いので、コロナが落ち着いたらまた、もう少しミュンヘンで勉強出来ればと思っています。ミュンヘンは音楽都市でもあるのでピアノだけでなく他の楽器にも優秀な人が多く、また素晴らしい演奏会も多くとても刺激的です。

コロナ感染拡大により、ドイツも大変な状況に見舞われたと思います。留学中の勉強、また日常生活においてどのような影響がありましたか?

昨年2月までは普通に生活はできていましたが、その後、状況が急変しました。3月~5月は自粛生活を余儀なくされ、その間はレッスンや授業は対面で受けることができませんでした。現在は実技系のレッスンは対面でやっています。ピアノの勉強自体は対面レッスンができているのでコロナの影響はあまり受けていないかもしれないけれど、学校以外のことで、例えば演奏会を聴きに行ったり、他の街へ伺うこともほとんどできていません。それから、ドイツ語の会話の勉強がなかなかできないでいます。オンラインでの授業があるけれど話を聞くばかりで自分から話す機会が少ないです。友達や先生方と話す環境が減ったことは非常に残念です。

ドイツと日本では国民性、文化の違いを感じました。帰国した際により強く感じることが出来たと思います。
演奏会に関しては日本の方が普段通りの形でやっていると思います。昨年10月にミュンヘンで演奏会を聞いてからは一度も観客を入れての演奏会が開催されておらず、現在もオンラインコンサートがほとんどです。昨年11月にロックダウンになり、色々な制限が設けられました。例えば、人が集まることに関して、日本は「集まらないでください」とお願いするスタイルですが、ドイツでは細かく定められていて、「2世帯以上集まってはいけない」「2世帯でも5人以下にする」、他にも「22時から5時までの夜間の外出禁止」など様々な厳しい条件が定められています。そのため友達とゆっくり会う機会も減り、僕が一時帰国前にミュンヘンにいた間はレストランもすべて閉まっていました。食料品店、薬局、病院以外は全て閉まっているので、基本的に家にいるだけの生活でした。ミュンヘンは家賃が高い都市でピアノを入れられる物件がほとんどなく、ほとんどの学生は、大学で練習する環境です。
これまでは1日に上限なく何時間でも練習できたのが、コロナの影響で一日に3時間までと制限されています。
僕は趣味が旅行や釣り、自然に触れることなど、外出することで気分転換をしているのですが、こういった状況で家にいる時間が長かったので、普段より凝った料理を作るなどして息抜きをしていました。
今回の一時帰国では、帰国の1週間前に日本政府から入国の際に陰性証明が必須と定められました。日本はチェック項目が細かく定められていて、すべて沿っていないと入国できないことになっていますが、ドイツでは日本が要求するような内容に沿った形式の書類を用意してもらえるところを見つけるのが難しく、帰国する準備が大変でした。現在は、ドイツは日本から戻った際に一定期間の隔離はありません。
ワクチンに関しては日本同様に年齢によってすでに接種が進んでいて、留学生を含む学生も国が打ってくれる話になっています。ただ、自分がドイツにいる間に実現するかどうはわかりません。基本的には学生も皆ワクチンを打たないといけないことになっています。

今年3月14日(日)に札幌交響楽団と地元・苫小牧での共演がありました。その演奏会についてお聞かせください。

本当は昨年共演予定でしたがコロナの影響で中止になりました。今回弾いた曲目は昨年も予定していたモーツアルトのピアノ協奏曲第21番です。幸運なことですが、コンチェルトの経験は学生時代から多くあり、札響さんとも日演連のコンサートで共演経験がありました。今回の指揮者は高関健先生でした。藝大でも教えている先生なので大学内で行われるコンサートでよく振られており、何度も足を運びました。
高関先生の探求心・追及心は尊敬してもしきれないくらい素晴らしく、特にリハーサルの時にそれをとても感じました。尚且つ、指揮の技術力も素晴らしく、当日はどのように弾いても瞬時に反応してくださり合わせていただけたので安心して演奏する事ができました。また、最近の札響さんは北海道出身の若い世代の団員さんが多くいらっしゃって、藝大出身の先輩方も多く、安心感がありました。とても雰囲気が良く、アットホームな感じで弾きやすい環境でした。また札響さんは小さい時から何度も聴きに通ったオーケストラで、サウンドも大好きですし、憧れのオーケストラなのですごく幸せな共演でした。

まもなくまたドイツに戻られるということですが、戻られた後のご予定は何かありますか?

ミュンヘンに戻ってから、コロナで延期していた大学の中間試験があります。教授陣の前で弾く試験です。今のところ戻っても演奏機会がそれくらいしかありません。昨年はベートヴェンイヤーだったので、予定ではこの春にベートヴェンのソナタを全曲、学生の皆で弾くという企画がありましたが、この状況だとおそらく実施できなさそうです。また、夏には講習会への参加も予定していますが、実際に行われるかはまだわかりません。
今はインプットの時期だと思って頑張ろうと思います。
今年は10月に一時帰国をし、京都でのソロリサイタルの予定があります。大好きなオールベートヴェンプログラムです。それから、ミュンヘンでの留学終了後、来年4月にはキタラで恩師である丸山滋先生と2台ピアノのデュオコンサートを行う予定でいます。プログラミングも面白い内容を考えているので、ぜひ北海道の皆さんにも聞いてほしいと思っています。

今後、どのような音楽家、活動を目指したいか、何かお考えはありますか?

僕は東京、そしてミュンヘンで学生生活を送っていますが、やはり故郷である北海道が大好きです。演奏することも大好きですが、指導にも興味があります。将来的には北海道も活動場所の視野に入れて後進の指導もしていければなと思っています。音楽業界に少しでも貢献できたらと思います。
まずは自分の勉強をしっかり続けます。いいパフォーマンスができないと指導もできないと考えているので、これからも頑張っていきたいと思います。
小さい頃から今まで、本当に沢山の素晴らしい先生方との出会いに恵まれてきたので、普段から人との繋がりや出会いを大切にできればと心掛けています。いずれ、そういった偉大な先生たちに少しでも近づければと思っています。

★横山さんの演奏は下記からご覧いただけます。ぜひご視聴ください!

YouTubeチャンネル Ruka Yokoyama 

《プロフィール》北海道苫小牧市出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学卒業。大学在学中に藝大クラヴィーア賞、卒業時に、アカンサス音楽賞、同声会賞、藝大クラヴィーア賞受賞。同声会新人演奏会、読売新人演奏会に出演。
同大学院を経て、現在ミュンヘン音楽演劇大学修士課程在学中。
第62回全日本学生音楽コンクール中学校の部全国大会第2位・横浜市民賞。
第18回フッペル鳥栖ピアノコンクール1位並びに月光賞受賞。
第29回ハイメスコンクール第1位。
第18回東京音楽コンクールファイナリスト。
2016年度藝大モーニングコンサートのソリストに選出され、山下一史指揮・藝大フィルハーモニア管弦楽団、2017年度日本演奏家連盟 新進演奏家育成プロジェクトにて、現田茂夫指揮・札幌交響楽団、これまでに東京フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団など多数のオーケストラと共演。
第21回リスト音楽院セミナーにて最優秀受講生に選出され、2019年・ハンガリーにて「ブダペストスプリングフェスティバル」に出演。ソロリサイタルを開催。
2020年度明治安田クオリティオブライフ文化財団海外音楽研修生。
2020年度江崎スカラーシップ奨学生。
これまでに、楠雅子、中山ヒサ子、丸山滋、植田克己、青柳晋各氏、現在ミヒャエル・シェーファー氏に師事。

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