指揮者 新田ユリさんインタビュー 第1回ハイメスオーケストラコンサートにむけて

写真  今回の公演の前身である「道民オーケストラ」とは2009年以来共演の機会を頂いてきました。ここでご縁のあったハイメス(北海道国際音楽交流協会)の皆さんとは、8月の夏の日々を短期間ではありましたが、ともに魅力的な作品たちに向き合ってきました。
 この3年間の充実の夏の日々を宝物と感じております。
 今回第1回となるハイメスオーケストラコンサートでは、ジャン・シベリウスの交響曲第2番をメインに据えて、前半は会員の皆さんのソリスティックな音楽の才とともにステージを作ることができることをとても楽しみにしています。クラリネット、声楽、ピアノという多方面にわたる専門家の方々と魅力的な作品に向き合えることは、今から胸躍る気持ちです。
ウェーバーもヴェルディも歌劇の分野でドイツ、イタリアにおいてそれぞれ重要な作曲家です。
 ウェーバーの「魔弾の射手」はいわばドイツオペラの原点、そしてウェーバーの音楽が持つ、精緻で多彩な管弦楽法と美しい旋律は今回のクラリネットと管弦楽の作品「コンチェルティーノ」においても、歌劇同様に大きく広がる音楽の世界を感じます。
ヴェルディの歌劇における人間臭さは、ヴェルディの楽譜の頑固な形式が支えることによって、より深く普遍的な人間の情感となり聞く人にそれを感じさせます。「リゴレット」はこの暗く重い作品の背景に深く大きな愛情があふれていることを聞いていただきたいと思います。
ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」はテーマが20数分の間様々な形に変容してゆき、ピアノの魅力を余すところなく描き、またオーケストラと緊張感のある音の会話を奏でる作品です。そこには起承転結明快なドラマがあります。
シベリウスの「交響曲第2番」には、作品が生まれたときから背負ってきたドラマがありました。20世紀に入りロシアとフィンランドの関係は緊張を増し、国民的作曲家として名前が知られるようになってきたシベリウスがこの時期に高揚感のある大きな交響曲を作り上げたことは、まさにフィンランドは歴史の代弁者を得た状況だったのです。しかし作曲者自身はそれを否定しました。作品を生むことには実に多くの背景を作曲家は持っているということは、後の世に明らかになってきます。シベリウスの場合もそうでした。
今回の演奏会では、どんなシベリウスの顔が浮かび上がるか、またこのもっとも有名なシベリウスの作品が作曲者にとってどのような位置づけなのか・・・北海道の夏の数日をハイメスオーケストラの皆さんとじっくり取り組んでみたいと思います。
北海道とフィンランドは気候が似ています。近年はフィンランドの夏も非常に暑くなっています。今年の夏はどうでしょう・・・
音楽作品が持つ多面的なドラマが、夏の日差しにさらに熱い風を呼ぶか、はたまた清涼な空気をもたらすか・・・皆様とともにその時間を楽しみにしたいと思います。
多くの皆様のご来場をお待ちいたします。


ソリストインタビュー

【ソプラノ:亀谷泰子さん】 劇的シーン、憧れの役
写真 ハイメスコンクールで賞をいただき渡伊した時に、師事した先生から「あなたはヴェルディやプッチーニなどのドラマチックな声のヒロインは合わない、絶対に歌っては駄目。」と教えられました。しかし先生は「ジルダは勉強しなければいけない。」と付け加えました。私にとって、オペラ『リゴレット』のジルダは一生に一度は演じてみたい憧れの役です。今回は、ジルダが愛する人のために自ら命を落とす劇的な場面を、オーケストラで歌うことができるという、願ってもないチャンスに恵まれました。いつも素晴らしい機会を与えていただき、本当に感謝しております。指揮の新田先生を始め、オーケストラの皆さん、他のソリストの皆さんからたくさんのことを学び、吸収し、せいいっぱい歌わせていただきたいと思います。

【アルト:東園己さん】 ヴェルディの名作をハイメスオケと歌える!
写真 この度、ハイメスオーケストラ第一回目の演奏会に出演させていただけることを心より嬉しく思っております。クラッシック音楽やオペラは近年グッと身近なものになったとはいえ、まだまだ「縁遠い」と認識されているジャンル…ハイメス設立のオーケストラ演奏で親近感を持っていただければと期待しております。オペラ「リゴレット」はイタリアの作曲家ヴェルディの名作であり、重唱曲も有名ですが、なかなかオーケストラで歌うチャンスがありません。歌手陣も札幌在住のメンバーで息の合ったアンサンブルをお聴かせできるかと思いますし、オーケストラの厚い音色での演奏を心待ちにしております。お盆の時期でお忙しいと思いますが、沢山のお客様に聴いて頂き、夏の暑さに負けないような熱い演奏をお届けしたいと意気込んでおります。どうぞよろしくお願いします。

【テノール:岡崎正治さん】 ヴェルディ真骨頂 ぜひお聴きあれ!
写真 この度演奏させて頂く「リゴレット」はヴェルディの代表するオペラの一つで、とりわけこの四重唱は、かのフランツ・リストがリゴレットパラフレーズとしてピアノ独奏用に編曲するほど、甘いメロディーと豊かで劇的な音楽に満ちあふれているヴェルディの真骨頂と言える曲です。是非ご来場いただき、HIMESオーケストラと共に奏でるこの四重唱をお楽しみいただけると幸いです。


【バリトン:下司貴大さん】 リゴレット、バリトン、そして私
写真 ハイメスオーケストラコンサートのソリストに選んで頂き、大変光栄に存じます。今回は、私の大好きな作曲家でもあるヴェルディの歌劇「リゴレット」からの重唱を演奏いたします。特にバリトンの役は、ヴェルディのオペラ作品において重要な役割を担っています。また、若手の歌手がヴェルディを演奏できる機会はとても貴重です。今回関わらせていただく素晴らしい音楽家の皆様から刺激を貰いながら、しっかりと準備をして責任ある演奏ができる様に務めます。

【クラリネット:三瓶佳紀さん】 プロ+アマチュア=感動する心は一つ
写真 今回ハイメスオーケストラでソリストとして出演させていただけるのを大変光栄に思います。この演奏会はプロ奏者とアマチュア奏者が世界で活躍する指揮者の元で一つの舞台を創り上げて行くという北海道にはあまり例のない試みです。私は昨年までの道民オーケストラを第1回目より毎年参加させていただきましたが、短い練習時間でメンバーの気持ちが一つになり、充実した演奏をしていると思っております。今回もまた素晴らしい演奏会になると確信しており、私も微力ながらその一端を担うことができればと思います。どうぞ演奏会に足をお運びいただきますようよろしくお願いいたします。

【ピアノ:新堀聡子さん】 念願のオーケストラ共演 応募してよかった!
写真 ラフマニノフの「パガニーニ狂詩曲」は自分の大好きな曲のひとつでしたので、この度演奏の機会をいただきました事、心より感謝申し上げます。また、新田ユリさんの指揮による第1回ハイメスオーケストラとの共演と言うことで、大変光栄に思っております。ラフマニノフの技巧的なおもしろさに加えて、非常にダイナミックな音楽の運びがこの曲の魅力かと思いますが、特筆すべきはやはり第18変奏の美しさで、演奏しながらも心を揺さぶられるような高揚があります。コンサートではオーケストラとお客様と共に、音楽の感動を分かち合えるようなひとときになるよう、力を尽くしたいと思っております。とても楽しみです。どうぞよろしくお願い致します。



オーケストラ出演者インタビュー

【打楽器群:大山雅世さん】
真貝裕司先生からのご紹介で、2007年から参加させていただいています。今回も参加できることを本当に嬉しく思っています。
このワークショップの最大の魅力は、プロの仕事を間近で見られることです。
楽譜に描かれている世界に真摯に向き合い、細部にまでこだわり抜いて音楽を作り上げるアーティストの姿勢を、手の届く距離で学べる3日間は私にとって宝物です。 今年もきっと素敵な演奏会になると思います。ぜひ会場へ聴きにいらしてください!

【管楽器群:上田博美さん】
今年のオーケストラコンサートの便りを受け、思わず「やったー!」と叫びました。
それは、敬愛する新田ユリさんの指揮でシベリウスの『交響曲二番』を演奏するチャンスを頂けたからです!
フィンランド留学時代には、四番・五番の演奏機会は多々ありましたが、なかなか二番を演奏する機会に巡り会えず、いつの日が演奏したいと思っていました。今回その思いが叶います。そしてハイメスオーケストラの仲間達と演奏できる事を心から楽しみにしています。


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